この記事では、法律事務所で弁護士の配偶者(妻)が仕事をしてくれない・適切でない指示をする等困った場合、事務員ができる対処法と注意点についてご紹介しています。
小規模な法律事務所では、事務局内に弁護士の奥さんが働いていることがよくありますよね。
経理など限られた仕事だけしている場合や、パートタイムで週に数日だけ出勤している場合、基本的にフルタイムで働いている場合など、その態様も様々です。
そしてどのような態様でも、同じ事務局で働く事務員にとっては、奥さんは少し気を遣う存在です。
そのようなただでさえ気を遣う弁護士の奥さんですが、その困った行動に悩む事務員も少なからず存在します。
今回は、その中でも弁護士の奥さんが全然仕事ができない・する気が無いという困った状況での対処法についてご紹介します。
雇用主の奥さんが同じ職場にいるということ
同じ事務局内に弁護士の奥さんがいるというのは、他の事務員にとっては多かれ少なかれ緊張するものです。
なぜなら、本来、事務局というのは、事務員同士がただ一緒に仕事をしているだけではないからです。
時には、多少の愚痴も言いながらガス抜きしつつ、助け合っているものです。
しかし、監視しているわけでなくても、弁護士の奥さんという存在がいるだけで、他の事務員には気が休まることがありません。
仮にその奥さんが素晴らしい人であったとしても、やはり雇い主の奥さんには違いありませんからね。
弁護士の奥さんが仕事をしてくれない…
先生の奥さんが全然仕事をしてくれないから、私にそのしわ寄せがきて大変なんです
事務局で弁護士の奥さんが働いている事務所で、事務員からしばしば聞く話です。
奥さんが事務局内にいるような事務所は、基本的に小規模でマンパワーが限られています。
にもかかわらず、奥さんが仕事をしてくれないとなると、周囲にしわ寄せがくるのは当然ですよね。
そして私自身も、このタイプの奥さんが事務局にいる法律事務所で働いていたことがあるのでよくわかります。
仕事ができない・する気が無い
私が一緒に働いていた奥さんは、週に3日出勤されていました。
しかし、何のために事務所に来ているのかわからないほど、ほぼ仕事はしていません。
基本的に、事務所のパソコンでネットサーフィンをしたり、雑誌やケータイを見ているだけで、他の事務員がどんなに忙しそうにしていても手伝うことはありません。
もちろん来客の対応もしません。
電話が鳴って他に誰も出られる人がいなくても、奥さんが電話に出ることもありません。
一応、奥さんが担当している仕事というのもあったのですが、全然進まないので土壇場で他の事務員へ振り分けられることが多く、ギリギリになって回ってくる仕事が特に大変でした。
トンチンカンな指示で振り回される
何もしないだけならまだいいのです。
しかし、この奥さんは、たまに気まぐれに横から口出しをしてきたり、トンチンカンな指示をしてきたりするのが厄介でした。
当時はまだ経験が浅く、対処法がわからなかった私も、最初の頃は散々振り回されました。
奥さんがそう言っているのだから、これでいいのよね
このように、今から考えれば迂闊なのですが、当時はトンチンカンな指示を聞いてしまっていました。
当然、トンチンカンな指示はトンチンカンな結果になります。
そうやって奥さんの指示に従って問題になったとしても、奥さんは知らん顔で助けてくれるわけも無く、弁護士(夫)に釈明してくれるわけでもありません。
ただ、私が弁護士や先輩事務員から注意され、後始末に奔走するしかありませんでした。
「弁護士の奥さんが仕事をしない」のは誰が解決できるのか
弁護士の奥さんが全然仕事をしてくれないと、同じ事務局にいる他の事務員は困る場面が多くなります。
また、トンチンカンな指示もハッキリ言って邪魔なだけですから、控えてもらいたいものですよね。
では、誰がこの問題を解決できるでしょうか?
基本的に弁護士はノータッチ
基本的に、弁護士の奥さんが仕事をしてくれなくても、弁護士は何もしてくれません。
奥さんを辞めさせることも、注意することも、事務員をフォローすることもありません。
私の体験でも他の事務所から聞いた話でも、ここは共通事項でした。
弁護士と奥さんの夫婦の力関係からなのか、単純に面倒なのかわかりませんが、この類の問題で弁護士が積極的に奥さんに何か対処をした話は聞いたことがありません。
私自身、せめて奥さんの誤った指示は辞めて欲しいと、思い切って弁護士に相談したこともありました。
…まあ、うまくやってよ
弁護士は苦笑いしてそう言うだけで、何も状況は変わりませんでした。
これはまだいい方で、別の事務所では、あからさまに弁護士が不機嫌になったり、後日奥さんから「不満があるなら辞めてもいい」と責められた人もいます。
円滑な仕事のために言っていても、弁護士にとっては身内への非難と映るのかもしれません。
このように、奥さんが仕事をしてくれない場合、それを注意できるのは弁護士しかいないのですが、あまり期待はできないのです。
先輩事務員に解決を期待するのは酷
勤務歴が長く頼りになる先輩事務員なら、この問題を解決できるでしょうか?
先輩事務員が奥さんに言ってくれないかなぁ
私も昔はそんな風に思っていたこともあります。
しかし、今は先輩事務員にそんなことを期待するのは酷な話だとわかります。
先輩事務員といえど、雇われている身には違いなく、雇い主(弁護士)の奥さんと積極的に対立したいわけがないからです。
また、仮に先輩事務員が何か言ったところで、奥さんがそれを真摯に受け止めてくれるとも思えません。
そんなまともな奥さんであれば、初めからきちんと仕事をしてくれると思うからです。
つまり、先輩事務員に解決を期待するのは無理筋であり、そもそも実効性が無いのです。
仕事をしてくれない弁護士の奥さんへの対処法
前述の通り、仕事をしてくれない奥さんの問題は、弁護士も先輩事務員も根本的な解決してはくれません。
そして重要なのは、あなたが根本的な解決することもできないということです。
この問題は「奥さんが仕事をするようになる」という解決を目指すのではなく、なるべくあなたに実害を減らせる対処法を考える方が現実的です。
奥さんを頭数に入れない
前述のとおり、仕事をしない(する気が無い)奥さんに、あなたが仕事をさせる(する気にさせる)ことはできません。
あなたができることは、奥さんを一切アテにしないことです。
アテにしないというのは、奥さんに何か頼んだりもしませんし、何かをしてくれることを期待しないということです。
奥さんを頭数に入れるから、仕事をしてくれないことに腹が立ったり、困ると感じるのです。
失礼を承知で言いますが、奥さんを頭数に入れずに「いないもの」と考えてみましょう。
「いないもの」には何も頼めませんし、何も期待しないですよね?
奥さんが仕事をしないことで増えた負担は?
奥さんが仕事をしてくれないと、私の仕事が多くなっていくんだけど
そうですよね、奥さんをいないものと考えたとしても、現実問題で困るのはここでしょう。
ここであなたがすべきことは、抱えている仕事を可視化して、客観的に無理であることがわかるようにして弁護士に伝えることです。
ここでのポイントですが、「奥さんが仕事をしてくれないから」と言う必要はありません。
あくまでも、単純にあなたが抱える仕事が多すぎるという客観的事実を伝えるのがポイントです。
また、奥さんが仕事をしないことで、土壇場で急な仕事が振られることが困るのであれば、急な仕事の割り振りは物理的に難しい事実を弁護士に伝えましょう。
「奥さんが仕事をしてくれないから急な仕事が振られて困る」と言うのではありません。
この書類の準備には1時間はかかりますよね?
明日の朝一で提出するからと言われても、退勤まであと15分です。
すいませんが、私は今日は所要があって残業はできません。
このように、奥さんとは関係なく客観的な事実を伝えるのがポイントです。
奥さんからの間違った口出しや指示は?
奥さんが横から間違った口出しをしてきたり、トンチンカンな指示をしてきた場合は、適当に受け流しましょう。
いちいち面と向かって誤りを訂正したり、反論しても意味がありません。
ハイハイと言っておけばいいのです。
その上で、奥さんの指示とは関係なく、仕事はきちんと正しい方法で進めればいいのです。
私の言うとおりにしてないじゃないの!
仮に奥さんがこんな風に怒り出したら、そこで初めて「念のため調べたらこちらが正しい方法だったので」としれっと答えておきましょう。
正しい仕事さえしていれば、奥さんが夫(弁護士)に何か言ったとしても大丈夫です。
確かに奥さんから、この書類には住民票の添付が必要だと指示がありました。
しかし念のため裁判所に確認したら、必要なのは戸籍謄本でした。
奥さんの勘違いかと思い、戸籍謄本を取り寄せましたが何か?
粛々とこう言うだけです。
さすがに弁護士も、間違った方法で処理した結果、問題になって困るのは自分だとわかっていますから、何も言えないはずです。
ただし、ここで「奥さんが悪い」「奥さんが間違った指示をした」という意見を言ってはいけません。
奥さんを非難しているという問題にすり替わってしまうからです。
ポイントは、あくまであなたが「正しい方法で仕事をした」という客観的事実を提示することです。
まとめ
弁護士の奥さんが全然仕事ができない・する気が無いという困った状況での対処法のポイントは次の通りです。
法律事務所の事務局で働く弁護士の奥さんの中には、良識ある素晴らしい人格の方もおられます。
そういう奥さんの場合、弁護士には直接言いにくい事務局の意見を汲んでくれたり、弁護士との橋渡し役になってくれる等、事務局にとってこれ以上心強い存在はいません。
ただ、残念なことに、実際に業界内で聞こえてくる話では、そういう奥さんは少数派と言わざるを得ません。
多かれ少なかれ、事務局内の奥さんに周囲は気を遣いながら頑張っているのが現状です。
今回は、弁護士の奥さんが仕事をしてくれない(する気が無い)場合の対処法についてご紹介しました。
あなたの参考になれば幸いです。
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