この記事では、法律事務所で仕事できないのに性格が厄介な先輩事務員に対し、後輩事務員ができる具体的対処法や注意点をご紹介しています。
先輩事務員からの無視や嫌がらせに困っています。
自分ができない仕事を私がしているのが気に入らないみたいです
このように、先輩事務員の言動に悩まされる事務員はとても多いです。
ある意味で、普通の上司よりも厄介で気を遣う存在ですよね。
とはいえ、先輩事務員の中には有能で人格にも優れた方ももちろんいますし、反対に、性格が悪く意地悪な方もいます。
私が過去に勤務した法律事務所でも本当に千差万別でした。
その中でも、仕事面では全く頼れないにもかかわらず、邪魔や意地悪だけはしっかりしてくる先輩事務員は非常に厄介な存在でした。
同じような悩みを持つ方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、仕事はできないのに性格が厄介な先輩事務員への有効な対策についてご紹介したいと思います。
実力は無いのに性格が厄介な先輩事務員
私が初めて勤務した法律事務所の先輩事務員Yさんは、勤務年数はそれなりにあったのですが、法的な書類の作成や諸手続のことは、まったく知識のない人でした。
勉強する気も無いらしく、私と一緒に勤務していた約2年の間にもまったく成長がありません。
しかし、どうでもいいことでいちいち難癖をつけてきたり、嫌がらせをしてきたり、マウントを取りたがる非常に面倒くさい性格だったのです。
クリップを持って帰ってこさせる先輩事務員
当時、未経験者として事務所に入った私は、まさに右も左もわかりません。
そこで、先輩であるYさんに聞くわけですが、まったく解決しません。
私、法学部卒じゃないから〜
これが彼女の常套句で、何も教えてくれることはなく、私は新人の頃から自力で調べ、自力で仕事を覚えるしかありませんでした。
しかし、本当に教えて欲しい業務以外のことにはやたらと絡んでくるのです。
具体例として、今でもはっきりと覚えているYさんのおかしな指示をご紹介しましょう。
裁判所に提出する書類は大体ホッチキス止めをするのですが、中には裁判所書記官からホッチキス止めはしないように依頼される場合があります。
もちろん理由があってのことですから、その指示には従うのですが、これが複数の種類の書類になる場合もあります。
そうすると、何も留めていないバラバラの状態で渡すわけにもいきませんよね?
そこで、普通はゼムクリップ(1000個入で500〜700円ぐらい)で留めて出すのですが、Yさんはこれが気に入らないのです。
クリップがもったいない!
無駄に使っているわけでもなく、クリップが求められる場面で使っているだけなのに、渡す時に書記官にクリップをいちいち外してもらって、それを持って帰ってこいと言うのです。
書記官にそんなことをさせている人なんて見たことがありません。
一事が万事この調子で、とてもじゃないですが付き合いきれません。
しかし、Yさんの言う通りにしなければ、無視したりイヤミを言ってみたり、業務に必要な物や本を隠してみたりと非常に厄介な人でした。
なぜ、どうでもいいことにお局風を吹かせたがるのか
Yさんに限らず、この実力が無いタイプの先輩事務員は、本来の業務からはズレた割とどうでもいいことでお局風を吹かせたがる傾向があります。
また、自分ができない・わからない仕事を後輩がしているのが気に入りません。
不機嫌になったり、邪魔をしてきたりすることもあります。
なぜこんな事をするかというと、これはある種の防衛本能なんですよね。
つまり、仕事で先輩としての優位性を保てないので、別の部分で優位に立とうと必死なんです。
本来の業務を頑張れば、勤務年数からいっても新人にこんなくだらないマウントを取る必要はないはずですよね。
でも、不思議なことに、このタイプの先輩事務員は頑なにそういう正統派の努力はしないのです。
仕事ができない先輩事務員への対処法
法律事務所で働いていると、仕事ができない先輩事務員に困っている人も少なくないでしょう。
私はこの厄介な先輩事務員Yさんとは、約2年間一緒に仕事をしました。
その間、それなりの苦労はしましたが、こういったタイプのお局様への対処法を私なりに考え実践しました。
すると、最終的に、Yさんは私に理不尽なことは何も言ってこなくなり、私のご機嫌さえ取ってくるようになったのです。
では、どういう対処をしたのかご紹介しましょう!
仕事のできない先輩事務員を立てても真の解決にはならない
仕事のできない先輩事務員は、事務所内での優位を保つためにマウントを取るのに必死です。
ですから、理不尽な仕打ちに正論で真っ向から立ち向かったところで逆効果です。
少しでも優秀なところを見せたり前に出ようものなら、すかさず攻撃してくるでしょう。
真っ向から立ち向かうのが逆効果であれば、先輩事務員をうまく立てるしかないと思うかもしれません。
実際、別の事務所に、私と同じように仕事のできない先輩事務員に苦労していた友人がいました。
彼女はできるだけ先輩事務員を刺激しないように、できることもできないフリをしたり、こっそり仕事をして、先輩事務員を立てながら気を遣って仕事をしていました。
だって、事を荒立てたくないんだもの
その気持ちもわかります。
しかし、こういうことに振り回されていると、真面目に仕事をするのが馬鹿らしくなり、いずれ自分も「仕事のできない先輩事務員」になりかねません。
ですから、先輩事務員を立てる方法はその場しのぎにはなっても、真の解決にはならないのです。
仕事のできない先輩事務員には頼らない
私が行った対処法は至ってシンプルで、とにかく「仕事のできない先輩事務員に頼ることを止める」というものです。
新人ですから、実務の手続も書式もわからないことだらけです。
でも、基本的にすべて自分で裁判所や役所に聞いたり、研修に参加したり、別の事務所の事務員と仲良くなって情報を得たり、弁護士に確認したりして解決するようにしました。
これは決してラクな方法ではありません。
しかし、仕事のできない先輩事務員のご機嫌を伺い、自分の能力を隠して仕事をするなんて不毛だと思いませんか?
それよりも、自分の力でできる仕事を増やしてスキルアップしていく方がよほど建設的です。
何より、今後の自分のためにもなりますよね。
どうせしんどい思いをするなら、不毛な気遣いをするよりも、自分の糧になる方が絶対いいはずです。
どのみち、仕事のできない先輩事務員を頼ったところでアテにならないのですから、最初からアテにするのは止めてしまった方が割り切って仕事ができますよ。
ただし、この「仕事のできない先輩事務員に頼ることを止める」という方法を実践する場合、注意しなければならないことが3点あります。
先輩事務員とあからさまに対立しない
先輩事務員に頼らないと決めたからといって、面と向かって対立する必要はありません。
もう頼りませんから!
わざわざこんなことを言わなくても、あなたの心の中で決めたらいいことだからです。
要するに覚悟の問題ですね。
優位性を失った先輩事務員を下手に刺激しないように、表面上はニッコリして、淡々と粛々と自分の仕事を進めましょう。
覚悟ができてれば、何を言われようが、何をしてもらえなかろうが、あまり気にならないものです。
残酷な言い方ですが、もう先輩事務員の存在自体が気になりません。
仕事は完璧を目指す
やるからには自分の仕事はミス無く完璧にできることを目指しましょう。
これは先輩事務員におかしな横槍を入れられないようにする意味もありますが、それだけではありません。
法律事務においては、小さなミスが重大な結果を招くこともあります。
法律事務職員として「ミスが少ない」というのは大きな武器なのです。
確実な仕事ができるようになれば、仮に転職するにしても非常に有利ですし、どこの事務所でも重宝されるでしょう。
あなたの今後のために、どうせ苦労するなら完璧を目指しましょう。
予防線を張る
仕事のできない先輩事務員は、事務所内工作には長けていたりするので、弁護士へあること無いことを吹き込んだりすることがあります。
そういう知恵は働くわけですね。
私の場合も、Yさんは実は弁護士の遠縁にあたる人だったので、弁護士にあること無いこと色々な話を吹き込んでくれました。
- 独断で進めている
- 協調性がない
- 経験が浅いのに生意気だ
こんな感じで、言いたい放題言われていました。
仕事をきちんとしていれば弁護士も真に受けたりしないでしょうし、放っておいてもいいのですが、鬱陶しいのは間違いありません。
これに対しては、何か不明なことがあれば、あえて一度は先輩事務員に聞いておくのが有効です。
私もあえてYさんには聞いており、もちろん、いつも通りYさんは答えてくれません(というより、答えられません)。
私、法学部卒じゃないから〜
このように、いつものセリフが返ってくるか無視されるだけなので、そうなったら「あ、そうですか」とあっさり引くのです。
必要なのは答えではなく「1度は聞いた」「報告はした」という既成事実です。
こうしておけば、弁護士から何か言われたとしても、しおらしく次のように答えればいいのです。
先輩には相談したのですが、教えていただけませんでした。
やむを得ず自分で調べる無かったんです。
面倒なことではありますが、防衛策・リスクヘッジとして必要です。
先輩事務員を頼るのを止めた結果どうなったか
私が先輩事務員Yさんを頼るのを止めた結果、事務局内のパワーバランスが徐々に変わりました。
弁護士も以前はYさんを経由して私に仕事を振り分けていましたが、いつしかYさんを通さずに私に直接仕事を振るようになりました。
その方が話が早いし確実だからです。
Yさんは懲りずに地味な嫌がらせを続けていましたが、それが原因で私の仕事が滞れば、それは弁護士の仕事が滞ることに直結するようになります。
そうなると、まず弁護士に変化があらわれます。
以前はYさんの振る舞いを見て見ぬふりだったのに、彼女への態度がどんどん冷ややかになっていきました。
こういった空気の変化には非常に敏感なのも、仕事ができない先輩事務員の特徴です。
Yさんは手のひらを返したように、私に気を遣うようになり、ご機嫌を伺い、ヨイショすらするようになっていきました。
こういう人だとはわかっていましたが、内心、その変わりっぷりには呆れてしまったほどです。
まとめ
仕事はできないのに性格が厄介な先輩事務員への有効な対策のポイントは次の通りです。
仕事ができない先輩事務員は、法律事務所ではしばしば見かけるタイプです。
特に、Yさんのように縁故で採用されている場合もあり、弁護士からの注意も期待できないのが厄介ですよね。
しかし、弁護士も事務所全体の仕事が立ち行かなくなるのは困ると考えています。
仕事を完璧にできるあなたよりも、仕事のできないお局様をかばった結果、あなたが退職してしまったら一番困るのはもちろん弁護士です。
それは弁護士が一番よくわかっています。
ですから、あなたがしっかり実力をつけて、事務所にとって必要不可欠な人材になってしまえば、仕事のできない先輩事務員はまったく怖くありません。
ちなみに、先輩事務員の中には、非常に有能だけど非常に怖いお局様もいます。
このようなタイプの先輩事務員には、今回ご紹介した仕事ができない先輩事務員とは別の対応が必要です。
もし、お困りであればこちらの記事を参考にしてみてくださいね。
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法律事務所で仕事のできない先輩事務員に悩んでいるあなたの参考になれば嬉しいです。
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