この記事では、法律事務所でイソ弁(アソシエイト弁護士)と先輩事務員が対立した場合に、板挟みになった後輩事務員ができる対応策と注意点についてご紹介しています。
先輩事務員とイソ弁が対立していて、事務所の空気が最悪なんです。
後輩の私はどう振る舞えばいいのでしょうか?
できればどちらの味方もしたくないのですが…。
事務所から給与をもらって勤務している弁護士(アソシエイト弁護士)、通称イソ弁絡みの悩みを抱える事務員は少なくありません。
イソ弁と事務局との関係は、単純な上司と部下とも違い、先輩と後輩とも違った関係性です。
その特殊さ故に、イソ弁との付き合い方や対処方法には、私自身もこれまで苦労しました。
私の同僚や知人で悩んでいる事務員も、少なからず存在します。
また、自分とイソ弁との関係だけならまだいいのです。
そこにボス弁(所長弁護士)や先輩事務員が絡むと話はもっと複雑になりますよね。
今回は、そんな法律事務所でイソ弁と先輩事務員が対立して板挟みになっている場合の対処法についてご紹介したいと思います。
イソ弁と事務局の関係が悪い法律事務所
法律事務所によって、イソ弁と事務局との関係性は違うのですが、関係があまり良くない事務所も存在します。
例えば、こんな話があります。
大阪では弁護士会からの配布物や弁護士間のやり取りに、弁護士会の一室にある各会員のレターケース(ポストのような物)を使うことがあります。
ここから配布物等を回収するのも、事務員のルーティーンワークの1つです。
ですが、イソ弁と事務局との関係が悪い事務所では、ボス弁護士への配布物は回収しても、イソ弁への配布物は回収しなかったりするのです。
同じ場所にあるのに、怖いですよね。
これは非常に小さい例ですが、他にも事務所内でイソ弁を無視する事務局もあると聞きます。
さらに、事務局全体としてはイソ弁との関係が悪くなくても、特定の事務員、特にベテラン事務員とイソ弁との関係が悪い場合があるのです。
イソ弁 vs 先輩事務員の対立勃発
私の知り合いの事務所でも、イソ弁と先輩事務員との関係が悪く、板挟みになった彼女は非常に大変そうでした。
そもそもの対立のキッカケは、さほど複雑な話ではなかったようです。
イソ弁と先輩事務員がとある業務のやり方について、意見の相違があったという程度のこと。
従来の方法を変えたくないのよね
別のやり方ならもっと早くできるのに…
先輩事務員はやり慣れた方法がよく、イソ弁からはそれが非効率に見えたのかもしれません。
キッカケは些細でも、以来、お互いがお互いを気に入らず、事務所はギスギスした空気になっているようです。
ちなみに、彼女の視点から見ると、イソ弁の言い分が間違っているとは感じられなかったそうです。
それだけに、イソ弁を気の毒に思う気持ちがあるようでした。
しかし、言い分が正しい方を味方すれば丸く収まるなら、苦労することは無いのが人間関係の難しいところですよね。
傍観者でいるのは難しい
イソ弁と先輩事務員が対立しているとき、できることなら関わりたくないのが本音ではないでしょうか。
理想はどちらの味方もせず傍観者でいることでしょう。
中規模から大規模な法律事務所で、しかもある程度分業化されているような事務所であれば、双方からある程度の距離を保つこともできるかもしれません。
しかし、小規模の法律事務所だと完全な傍観者になることは難しいでしょう。
狭い職場ではどうしても逃げ場がありません。
イソ弁とも先輩事務員ともそれなりに業務上の関わりがある以上、完全な傍観者でいることはできません。
下手をすれば、どっちつかずで両方から責められる事態になりかねません。
イソ弁と先輩事務員が対立した場合にどうするべきか
正しい方に単純に味方すれば解決する話でもなく、傍観者になるのも難しい。
そこで、私だったらどうするか、法律事務所勤務歴20年の経験上の導き出した答えをご紹介しましょう。
敵にしたくない方=先輩事務員を刺激しない
私なら、敵にしたくない方、つまり先輩事務員を刺激するようなことはしません。
私なら先輩事務員の言い分を否定せず、かといって対立を煽りもしません。
可能であれば、対立の落とし所を探る程度ですね。
なぜなら、小規模の法律事務所に勤務している場合、敵にすると困るのはイソ弁よりも先輩事務員であるのが通常ですよね?
仕事の性質上、どうしても助けてもらう場面や、協力してもらう場面が多いのは先輩事務員です。
ですから、先輩事務員に加勢してイソ弁と積極的に対立せよとまでは言いませんが、真っ向からイソ弁をかばったり先輩事務員を非難したりはしません。
せいぜい先輩事務員の目の届かないところで、こっそりフォローする程度でしょう。
イソ弁の味方をしない理由
ちょっと冷たくない?
イソ弁がかわいそう。
そんな風に思う人もいるかもしれません。
しかし、考えてみて欲しいのです。
逆に、事務局内で先輩事務員と自分が対立していたとして、イソ弁が積極的に介入してくれるでしょうか?
私の経験上、基本的にイソ弁は事務局内の人間関係の対立には口を出しません。
業務に著しい支障が出れば話は別ですが、私と同じように、せいぜいこっそり裏でフォローしてくれる程度です。
単純に、事務局内のゴタゴタに巻き込まれるのを嫌うイソ弁もいるでしょう。
あるいは、自分が介入しても意味が無いと思っているイソ弁もいるでしょう。
それはある意味正解で、そもそも事務局内の人間関係は、イソ弁が介入して悪化することはあっても、改善することは期待できません。
やはりここでも、イソ弁と事務局との特殊な関係性が影響しています。
基本的にはこの構造と同じなのです。
イソ弁と先輩事務員が対立した場合に、あなたがイソ弁側に味方したところで解決なんかしません。
イソ弁と先輩事務員の対立は続いた上に、事務局内でのあなたの立場が悪くなって終わりの可能性の方がずっと高いのです。
つまり、あなたがイソ弁の味方をしても、誰も何の得もしないのです。
【例外】イソ弁の味方をするための条件
前述のとおり、私がおすすめする対処法では、基本的にイソ弁の味方はしません。
しかし、場合によっては、どうしても積極的にイソ弁の味方をしたいときもあるかもしれません。
そこで、例外的にイソ弁の味方を積極的にしてもいい条件をご紹介します。
- イソ弁が独立するとき事務所から事務員の引き抜きが認められている
- イソ弁が独立するときあなたもついて行きたいと思っている
- イソ弁が独立するときあなたを採用することが確実
これらをすべて満たすとき、イソ弁の味方をしてあげてください。
これは要するにリスクヘッジです。
何しろ、あなたがイソ弁の味方を積極的にすれば、その事務所での居心地が悪くなる可能性はかなり高いです。
先輩事務員を敵に回すわけですからね。
ですから、イソ弁が独立するときに一緒に事務所を出ていきたいと思えて、それをイソ弁も望んでいることが確実なら、独立するまでの我慢と割り切れるでしょう。
ただし、条件の1つ目に挙げましたが、イソ弁が独立するときに、その事務所の事務員を引き抜くことを禁じている事務所もあります。
せっかく育てて一人前になった事務員をあっさり連れて行かれるのは困るからです。
独立時にわざわざボス弁護士と揉めたいイソ弁もいませんので、ここはしっかり確認しておくべきでしょう。
まとめ
法律事務所でイソ弁と先輩事務員が対立して板挟みになっている場合の対処のポイントは次の通りです。
事務所内で人間関係の対立が起こると、自分には直接関係が無くても居心地が悪くなりますよね。
できることなら、お互いがお互いを尊重しながら、気持ちよく過ごせるようにしたいものです。
しかし、いくらあなたがそう思っていても、やむを得ず巻き込まれてしまうことがあるのが人間関係の難しいところですよね。
今回ご紹介したのは、イソ弁と先輩事務員が対立し板挟みになった場合ですが、あなた自身がイソ弁との関係で苦労することもあるでしょう。
イソ弁にも色々なタイプの人がいます。
こちらの記事では、マイペースなイソ弁への対処方法についてご紹介しているので、もし同じようなイソ弁に困っているなら、参考にしてみてくださいね。
>>法律事務所でマイペースなイソ弁が事務局を振り回す!事務員ができる具体的な対処法とは
法律事務所で働くあなたの一助になれば嬉しいです。
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