この記事では、法律事務所でプライベートの詮索をされて困った場合に、対処する方法と具体的手順、注意点についてご紹介しています。
他人のプライベートな事柄を、根掘り葉掘り詮索したい人はどこにでもいますよね。
同僚相手に職場であまりそういう話をしたくない人も多いでしょうし、実際に困った経験がある人もいるでしょう。
私自身、過去に勤務した法律事務所でも、詮索好きな人に遭遇したことが何度もあります。
特に小規模な法律事務所では逃げ場も無く、その対応にはタフな戦略が必要です。
そこで今回は、法律事務所によくいる詮索好き事務員への対処法をご紹介します。
なぜプライベートを詮索するのか
私の経験上、法律事務所ではプライベートの詮索をしてくる人が珍しくない印象があります。
というのも、法律事務所は依頼者の離婚遺産相続等、家族や親族間のプライベートなトラブルが身近な仕事です。
普通の職場なら、こういったプライベートな話題自体、簡単には話題にしにくいですよね。
しかし、法律事務所という少し特殊な環境では、慣れ故に簡単に踏み越えてきてしまうのでしょう。
それにしたって、他人のプライベートをそんなに詮索するのはなぜ?
私が思うに、詮索する理由は大きく分けて2パターンあり、どちらに当てはまるか知る必要があります。
理由がどうあれ、あなたにとっては迷惑なことには変わりありませんが、どういう理由で詮索しているのかで対応も変わってくるからです。
無意識に詮索している場合
詮索してくる人の中には、あなたのことをよく知りたい、仲良くなりたいと思い、悪気無く詮索している場合があります。
また、単なる世間話のつもりだったり、あなたに気を遣って話題を振っている場合もあるでしょう。
先程述べた通り、一般的な職場と比べて、法律事務所はプライベートな事柄を身近な話題にしやすい環境にあるからです。
こういった場合は、あなたがどう感じるのか配慮が足りず、無神経な面もあるでしょう。
しかし、何か別の思惑があったりするわけでもありません。
その証拠に、こういった無意識に詮索する人は、自分のことも知ってもらいたい気持ちもあります。
うちの夫はお金にルーズで困っちゃう!
あなたのお家のご主人はどう?
このような感じで、自分のプライベートな話題も自らあけすけに話し、同時に詮索してくる傾向があります。
その人にとっては、プライベートな話題をあなたにすることには抵抗が無いのです。
だから、無意識にあなたもそうだろうと思っているのでしょうね。
要するに、プライベートな話題を他人に話すことへのハードルの高さが違うのです。
詮索に特定の目的がある場合
詮索してくる人の中には、何らかの目的があって詮索してくる場合もあります。
例えば、あなたのプライベートな話を知ることで優越感を持ったり、別の誰かとあなたの噂話をしたい等の意図がある場合ですね。
はっきり特定の目的を自覚していなくても、興味本位だけでプライベートを詮索するというのは、される側からすれば気持ちのいいものではないでしょう。
こういう人は、詮索された人が不快に思おうが、言いたくないと思っていようが関係ありません。
また、自分のことを知ってもらいたいとも思っていません。
ですから、こういう悪意があって詮索してくる人は、相手には平気で詮索しますが、自分のプライベートを積極的に明かしたりしないものです。
詮索には段階的な対応が必要
詮索されるのが内心イヤだと思いながら、それでも仕方なく答えてしまう人は多くいます。
その大半は、その場の空気を悪くしてしまうことを懸念してのことでしょう。
確かに、無意識に詮索している人は、ただあなたを知りたい、あるいは世間話感覚で詮索しているので、いきなりピシャリと撥ね付けてしまうと、面食らってしまうでしょう。
ちょっと聞いただけなのに
このように空気は悪くなるでしょうし、今後仲良くなれたかもしれない人を傷つけてしまうかもしれません。
しかし、無意識だからといって、聞かれるままに答えなくてはならないのは辛いですよね。
さらに、特定の目的があって詮索してくる人には、もちろん答えるべきではありません。
相手の詮索する意図が明確でない場合もあるでしょうから、詮索には段階的に対応していきながら、対応を変えていく必要があるのです。
詮索への対応ステップ1【察してくださいモード】
ここからは、詮索に対する具体的対応を段階的にご紹介していきます。
過去20年の法律事務所勤務の中で、何度も使ってきたステップなので、ぜひ参考にしてみてください。
どこまで答えるのか線引きする
まず前提として、プライベートな話題について、どこまで答えるかは予め線引きしておいてください。
話題によっては、一切答えたくないものもあるとは思います。
しかし、一緒に勤務している間柄で、プライベートを一切何も答えないというのも、やや無理があるでしょう。
- 夫の勤務先を聞かれても業種まで
- 子どもの学校を聞かれても学校名は言わない
- 家のお金(ローン、貯蓄等)に関することは一切答えない
このように、あなたの中での線引きをしてください。
詮索に正面から答えない
では、ステップ1「察してくださいモード」についてご紹介しましょう。
タフに法律事務所を生き抜くためとはいえ、不要な軋轢を生まないに越したことはありませんよね。
そこで、ステップ1では、詮索に対して、言葉を濁して質問には正面から答えないことで、自分の気持ちを察してもらいます。
具体的には、先程あなたが決めた線引きしたところまでは答えますが、質問に正面から答えません。
先程の例でいうと、このような感じです。
ご主人はどこにお勤めなの?
あー、金融関係です
金融?どこの?
えーっと…、大阪ですね
さて、自分の質問に対してこのように正面から答えてもらえなければ、どのように感じるでしょうか?
良識ある社会人であれば「ああ、この質問には答えたくないんだな」「この話題はあまりしたくないんだな」と察しますよね。
無意識に詮索している人であれば、ここで引くことが多く、詮索は止まります。
ただ、少々鈍感な人もいますし、特定の目的があって詮索する人であれば、察していようがいまいが、グイグイと次の質問を投げかけてくるはずです。
そうなったら次のステップです。
詮索への対応ステップ2【やんわりキッパリモード】
あなたが正面から質問に答えないにもかかわらず、察してくれずに詮索が止まらない場合はどうすればいいでしょうか。
そういう場合はステップ2として、やんわりと、でもキッパリと「答えたくない」と意思表示します。
態度は穏やかに、言葉ははっきりと
「やんわり」と「キッパリ」では真逆のようですが、あくまで態度としては穏やかに、ですが、拒否の言葉ははっきり伝えるという意味です。
すいません、家のお金の話を外でするのは苦手なんです
言葉ではっきり伝えるというのは、まずは相手にしっかり伝えるためです。
同時に、これには今後のリスクヘッジの面もあります。
もし、はっきり言葉で伝えないままに、今後相手とトラブルになって、雇用主である弁護士にまで話がいってしまったとしますよね。
弁護士から事情を聞かれたら、詮索した人はきっとこのように言うでしょう。
そんなに嫌だと思っていませんでした。
ただの世間話のつもりでしたから。
それならそうと言ってくれたらよかったのに。
相手にこのように言わせないためにも、一度はしっかり言葉で伝えるべきです。
なお、この時のポイントは表情です。
あくまで「言いたくないことを聞かれて困っている」という表情をするようにしてください。
わかりやすく「被害者」の顔をすることで、無意識に詮索している人なら、あなたが困っていることがわかり、これ以上の詮索はできないでしょう。
元々、あなたを困らせたいと思っているわけではないからです。
そして、特定の目的があって詮索している人でも、さすがに言葉でキッパリ拒否されればそこで止める人もいます。
しかし、中にはここまでハッキリ言っても、詮索を止めない人もいるのです。
拒否しても詮索をやめない人
以前、私が勤務していた法律事務所の先輩事務員の中に、やたらと私のプライベートを詮索してくる人がいました。
しつこく根掘り葉掘り聞いてくるのですが、それでいて、自分のプライベートは一切話しません。
最初は、先輩事務員相手に遠慮もあって、応じていました。
しかし、やたらとマウントを取ってきたり、私の話に尾ひれ背びれをつけて周囲に吹聴したりするようになったので、私はやんわりキッパリ答えたくないと伝えました。
すると、次のように言われました。
どうして言えないの〜?
何か言えない理由でもあるの〜?
まるで「やましいことがあるから言えないんじゃないか」と言わんばかりの態度で、非常に不愉快でした。
ここで私はステップ3に進むことに決めたのです。
詮索への対応ステップ3【笑顔で立ち向かうモード】
ステップ2までは、あくまであまり事を荒立てず、それでいて詮索には答えないためのステップでした。
既に述べた通り、無意識に詮索する人もいるため、あえてこの2ステップを踏んだのです。
しかし、ここまでしても詮索を止めない人に対しては、最終手段に出るしかありません。
事務所の空気を悪くしたのは誰か
事務所の空気を悪くしたくないんです
その気持ちはよくわかります。
しかし、考えてみてください。
あなたのプライベートを無理やり詮索し、あなたが不快に思っている時点で、事務所の空気は既に悪くなっていると言えませんか?
しかも、きっぱり言葉にして拒否していても詮索を止めないのです。
事務所の空気を悪くしているのは相手の方ですよね。
何の遠慮もいりません。
むしろ、この悪い空気を断ち切るために、あなたの行動が必要だと考えるべきです。
笑顔で詮索に立ち向かう
ステップ3では、相手の詮索に対してしっかり正面から立ち向かいましょう。
例えば、先程の例に挙げた詮索をする先輩事務員に対して、実際に私が言い返した言葉は次の通りです。
どうして言えないの〜?
何か言えない理由でもあるの〜?
逆に、どうして答えないといけないんですか?
あっ!Aさんがいつもご自分のことを何も話さないのは、言えない理由があるからなんですか?
えっ、いや…私は…(モゴモゴ)
それに、Aさんにしかお話してないことが、事務所内に変な風に広まっているんです。
まさかAさんがそんな非常識なことするわけないと思っているのですが、どういうことでしょうね?
ここまで言うのかと思われるかもしれませんが、ここまで言わせているのも詮索を止めない相手なのですから仕方ありません。
ここでもポイントは表情で、私は笑顔をおすすめします。
怒ったり泣いたりすると、あなたが敏感で感情的(ヒステリック)な人間だと周囲に思われてしまい、相手に逃げ道を与えてしまいます。
世間話をしていただけなのに、急に怒って泣いたのよ。
ちょっと変わってるわよね、あの子。
こんな風に言わせてしまい、まるであなたに非があるようにされないためです。
感情的にならず、笑顔で堂々と正面から言い返すことで、非常識なことをしているのはどちらなのかを示しましょう。
必要なのは明確なあなたの姿勢
ここまで言わないといけないの?
ちょっと言いにくいなぁ。
前述の私の例を見たら、そのように感じる人もいるでしょう。
確かに、この時は私もかなり我慢した後だったこともあり、言葉自体はかなり強めになりました。
しかし、重要なのは具体的に何を言うかではなく、あなたの姿勢を明確に見せることなのです。
はっきり言って、簡単にプライベートを詮索され、拒否しても止めないというのは、相手にナメられていますよね。
つまり、多少嫌がることをしたところで、どうせ何もできないだろうと思われているのです。
そこで「これ以上あなたが私の嫌がることをするなら、私も正面から立ち向かいますよ」という姿勢を見せることに意味があります。
詮索は、自分よりも弱い立場の人間相手だからこそしている行為です。
そのため、相手が堂々と立ち向かってくる可能性があるだけで、詮索はしずらくなるのです。
ちなみに、私にしつこい詮索をしていた先輩事務員は、その後、詮索してこなくなりましたし、以前ほどマウントを仕掛けてくることもなくなりました。
また言い返されたら面倒ね…
このように、詮索したりマウントを仕掛ければ、また私が立ち向かってくると悟ったのでしょう。
確かに、この先輩事務員とは少し距離ができて、気まずい関係にはなりました。
しかし、不愉快な気持ちを抱きながら仲良くなりたいとも思えませんし、私だけがモヤモヤすることは無くなり、居心地はずっとよくなったのです。
まとめ
法律事務所によくいる詮索好き事務員への対処のポイントは次の通りです。
いかがでしょうか。
このように段階を踏んで対応することで、相手との関係をギリギリ壊さずに対処することも可能です。
また、詮索されるのはイヤだけど、空気も悪くしたくないという気持ちもわかります。
しかし、何度も言うように、しつこい詮索をされている時点で事務所の空気は悪くなっているのです。
そして、特定の目的を持って詮索してくる人と気まずくなっても、それほどあなたに悪影響はないでしょう。
むしろ、あなただけが不快な思いをして、モヤモヤすることは無くなるのです。
嫌なことには明確なあなたの姿勢を見せ、お互いに最低限の配慮をすることが、社会人として気持ちいい付き合い方ではないでしょうか。
法律事務所によくいる詮索が大好きな人に困っている方の参考になれば幸いです。
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