この記事では、法律事務所でマイペースなイソ弁(アソシエイト弁護士)がいる場合、振り回されないようにする具体的方法と注意点をご紹介しています。
またイソ弁先生のフォローで残業だったのよ…
どうすればイソ弁先生にわかってもらえるのかしら?
法律事務所で雇われている弁護士、一般的にはアソシエイト弁護士やイソ弁との関係に悩む事務員は多いですよね。
イソ弁と事務局との関係は少し特殊です。
お互い少し気を遣い、お互い少しやりにくいと感じることはよくあるでしょう。
そして、中には最悪と言っていいほど関係が悪い事務所も存在します。
また、イソ弁と一言で言っても様々なタイプの人がおり、事務局にとって付き合いやすいイソ弁もいれば、非常にやりにくいイソ弁もいます。
私もこれまで法律事務所で20年間勤務し、複数のイソ弁の身近で一緒に仕事をしてきました。
その中には、本当に対応に困るイソ弁もいて、悩んだ時期もあります。
その中でも今回は、周囲を振り回すマイペース過ぎるイソ弁への対処法についてご紹介します。
マイペースな人との仕事は大変
経験がある人ならわかると思うのですが、マイペースな人と働くのはなかなか大変です。
その人にとっては「マイ」ペースで快適なのでしょうが、周囲にとってそうとは限りません。
マイペースが周囲を振り回している場合もあり、特にチームで動く場合などは歩調を合わせるのに非常に苦労するのです。
そして、大抵の場合、本人に周囲を振り回している自覚が無いのが余計に始末が悪いですよね。
マイペースなイソ弁との仕事
以前一緒に仕事をしていたイソ弁も非常にマイペースな人でした。
性格は穏やかないい人なのですが、とにかくマイペースで優柔不断だったのです。
当時、イソ弁の仕事のサポートをするには、大きな意味で段取りをつけることも含まれてました。
つまり、イソ弁に方針(ゴール)を決めてもらえば、そこに向けて必要な物を調べ、準備し、あとはイソ弁でないとできないところまでお膳立てするのが私の仕事です。
しかし、なかなか方針(ゴール)が決まりません。
ようやく決まり、私は自分の役割である段取りをつけていきますが…
あ、それやっぱり変更したんだよ
言ってなかったっけ?
このように、途中でコロコロと方針が変わってしまうのです。
それだけならまだしも、私に知らされていないので、私の準備はすべて無駄になることもありました。
そういうことを繰り返していると、中途半端で宙に浮いた案件が量産され、それぞれの進捗状態すら曖昧になっていきます。
マイペースなので、急に一気に進むこともあります。
ですが、気がつけば、いつの間にかまた放置されてたりもしました。
このように、段取りを組んだり、進捗を管理する役目を負う事務局からすれば、非常に事務局泣かせのイソ弁だったのです。
イソ弁と事務局の微妙な関係
すべての法律事務所にあてはまるとは言いませんが、イソ弁と事務局は少し特殊な関係です。
事務所全体で、指示系統や仕事の範囲がはっきりしている事務所はいいのでしょう。
しかし、そのあたりがあやふやな事務所もあり、事務局としてもイソ弁の指示をどこまで聞き、どこまで干渉すべきか、非常に悩ましい場合があるのです。
私が対応に苦慮したイソ弁も、マイペースなだけで人が悪いわけではありません。
何とか力になりたい気持ちもありましたが、このマイペースなイソ弁との関わりは、当時の私にはかなりストレスでした。
マイペースなイソ弁の対処法
悩んだ末に、私がこのマイペースなイソ弁に対して取った対処法は非常にシンプルです。
それはイソ弁の言動に起因して起こったことにはイソ弁に対処してもらうというものです。
そんなこと言っても…
イソ弁のせいで仕事に遅れが出たら、結局私も残業するんだけど…
こんな声が聞こえてきそうですし、私も実際そう思っていました。
しかし、イソ弁が優柔不断なせいで遅れが出たり、イソ弁がマイペースなせいで周囲と軋轢が生じても、そのフォローをするのを止めたのです。
具体的には次のように対応しました。
マイペースの後始末は自分でしてもらう
例えば、イソ弁の優柔不断やマイペースのせいで遅れが出て明日がリミットだという仕事を、私の退勤時間ギリギリに持ってきたとします。
以前なら、残業して引き受け、明日までに間に合わせていましたが、それを止めました。
すいません〜!
今日はどうしても外せない用事があって…
このように、申し訳無さそうに言いつつ、できたところまでイソ弁に渡してさっさと帰ります。
そして、次の日に軽く「昨日はすいませんでした」とフォローするだけにします。
ちなみに、当時の事務所では、イソ弁担当の残業をしたところで、ボス弁護士から残業代は出ませんでした。
もちろん、イソ弁が自腹を切ってくれるなんてこともありません。
その負担を事務員が引き受けるなんて、おかしな話ですよね?
事務局をアテにしすぎ
そもそも、こういったイソ弁は無意識に事務局をアテにしすぎている面があるのです。
何とかしてもらえるだろう…
確かに、イソ弁がスムーズに仕事ができるようにサポートして、ある程度「何とか」するのは事務局の仕事でしょう。
しかし、それはあくまで、イソ弁が事務局と連携してしっかり仕事と指示をしている場合です。
自分だけの勝手なペースで仕事をして、いざ困ったら何とかしてもらえると思うのは甘すぎます。
そもそも、自分の行為がどれだけ振り回してるか、見えないところで助けられてるかをわかっていないイソ弁に、最初から何とかしてあげるのは如何なものでしょうか。
そこを黙ってただフォローしていたのでは、イソ弁はいつまでたってもわからないままです。
それはイソ弁自身にとっても、決して良いことではありません。
事前の「仕込み」が重要
ただ、このようにイソ弁の言動に起因して起こったことにはイソ弁に対処してもらうにしても、フォローを一切しないというのは、事務局として職務怠慢と取られかねません。
そこで、事前の「仕込み」がとても重要になってきます。
例えば、イソ弁が優柔不断でなかなか方針が決まらず、スケジュールに遅れが出そうな場合、事前にこのように伝えておきます。
5日までに最低ここまでは決めておかないと、資格証明の取得が間に合いません。
資格証明が取得できないと、次の申請ができないので期限までに裁判所に提出できませんよ!
このように、このままだとどういう事態になり、どう困ったことになるのか、具体的にしっかり伝えておくのです。
こういった具体的なスケジュールやタイムテーブルは、イソ弁は意外なほど知らないことがあります。
ですから、特に経験の浅いイソ弁の場合は、具体的にしっかりと伝えておきましょう。
こういう注意喚起を聞いて改めてくれるイソ弁ならいいですし、もしこれを聞いてもなお改められず、困った事態になったら、それはイソ弁自身で何とかしてもらいましょう。
マイペースなイソ弁の変化
少々荒療治ではありましたが、イソ弁のマイペースをただ黙ってフォローするのを止めた結果、イソ弁に変化がありました。
マイペースも優柔不断も、イソ弁なりに改善してくれて、格段に仕事がやりやすくなりました。
自分のマイペースや優柔不断が、いかに事務局を振り回していたか、そして自分のせいで困った事態になったときにどれだけ助けてもらっていたのか、体感してわかっていただけたようです。
予想通りわかっていなかっただけで、悪気があったわけではないので、すぐに変化が見られました。
もちろん、マイペースも優柔不断も完全にすぐ無くなるわけではありません。
ただ、イソ弁がその影響をわかっているのといないのとでは、こちらの受け取り方も違ってきますよね。
まとめ
周囲を振り回すマイペース過ぎるイソ弁への対処のポイントは次の通りです。
マイペースなイソ弁へのこの対処法は、人によっては冷たいと感じるかもしれません。
ただ、何度も言うように、このマイペースなタイプは、周囲を振り回す自覚が無いことがほとんどです。
イソ弁も自分一人で完結する仕事だけならまだしも、他の弁護士と共同受任するようなこともあるわけですから、知らないままでいることはよいことではありません。
そういう意味では、事務局だけでなくイソ弁や関わる周囲のためにもなることです。
何でも黙ってしてあげることだけが、イソ弁との上手い付き合い方ではないことを知ってください。
また、法律事務所では、あなた自身はイソ弁と上手く付き合えても、他の事務員がイソ弁とトラブルになり、否応なく巻き込まれることがあります。
例えば、イソ弁と先輩事務員が対立しているような場合は、板挟みになってしまうかもしれません。
もし、そのような状況で悩んでおられるならこちらの記事を参考にしてみてください。
>>法律事務所でイソ弁と先輩事務員が対立!板挟みの後輩事務員の取るべき対応とは
法律事務所でマイペースなイソ弁の対処法に悩む方の参考になれば嬉しいです。
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